地平線への鍵 【Sound Horizon考察】

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『白鴉』が象徴するもの

 『白鴉』という表現が最も強く物語っているのが、本来あるべき形から離れている存在という意味合いであるのは、敢えて言葉にするのが躊躇われるほど自明の事です。
 ただ、この表現の秀逸な点は、単にマイノリティ的な意味合いを持たせるだけに留まらず、「黒」と「白」という完全に対極のものを対比させる事によって、より相克的なイメージを与えている点でしょう。

 皆さん、「黒い動物」と言われて、ぱっと思い浮かぶものは何でしょうか?
 黒猫とかでは、別に猫なら黒に限ったものではありませんし、他の動物にしても同じでしょう。種の総体的な特徴として「黒」という色を必ず備えている動物となりますと、少なくとも私の浅薄な知識では、鴉しか思いつきません。
 一応、居るには居るんですが、直接的には「黒」というイメージと結び付かないんですよね…。

 「Chronicle」世界に於ける絶対律とも呼ぶべき“歴史=運命”は、『黒の予言書』という一個の存在に具象化されています。
 ならば、それに対立するのが「白」を司るものであるというのは非常に明瞭に連想できるのですが、そこへ“本来は「黒」に属する”筈の例外的な存在を引き合いに出す事で、一層奥深い対比を演出しているのですね。
 この点のみを見ただけでも、Revo氏の言葉選びのセンスの良さが光ります。

 こうして、対立的な印象を克明にした結果、『白鴉』という表現からは、多くのニュアンスを酌み取る事が可能となっています。

1.抵抗および非服従
2.不屈なる意志
3.反体制的な思想
4.自由への開放
5.淘汰されるべき異端
6.絶望的なまでの勢力の多寡。

 そして更に付け加えるならば、「希望の光」とでもいったところでしょうか。私の語彙が及ぶ範囲では、ざっと以上のようになります。
 これらは全て「黒=対抗勢力」との対比という視点に基づいていますが、その上で各曲の登場人物にこれを照らし合わせてみますと、実に良く嵌るんです。

ルーナ&エンディミオ=1.2.3
アルヴァレス=2.4.5.6
ローザ=1.2.4.6
ジュリエッタ=1.5.6
レティーシア=1.3.4.5
「雷神」の少年=1.4.6
ルキア=1.2.3.4.5.6

 かなり曖昧な部分もありますが、この様な感じでしょうか。別に狙っていた訳ではなかった筈なのですが、ルキアはパーフェクト達成です。
 まあ、それもその筈で、「黒の教団」が生んだ異端児である彼女は、『白鴉』を最も象徴している個人ですからね。

 この様に、『白鴉』はレジスタンス的なスタンスに立つ人物に対する、象徴としての意味合いが強く、クロセカ世界に実在する超常的な存在とは、少々考え難いように思います。
 ファンタジー的な視点で捉えた場合には、居た方が面白いとは思うのですが、どうにも実在を窺わせる根拠となるような描写が見当たらないんですよね…。

 ちなみに余談ではありますが、「ルキウス/Lucius」及び「ルキア/Lucia」という名前には、「光」という意味が有ります。
 一方、「イリア/Iria」は「トロイア(イリオン)の娘」という意味で、元々はローマ建国の王ロムルスの母親の名であったものです。
Copyrights (C) CAZ 【2005年07月16日更新】 | Chronicle 2nd | HOME
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